ディープラーニング

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英語はディープラーニング

ここではディープラーニングに関して説明します。これは脳でどのように学習するかを説明するものです。ディープラーニングの知識がなくても問題なく自然とディープラーニングが可能です。しかし、脳の学習の仕組みが分かれば英語学習がより楽しくなるかも知れません。そしてより効果的な英語学習になるかも知れません。

1.ディープラーニングとは

人間は生まれてから、いろいろ事を学習していきます。言葉を話すためには、達人を真似て手続き記憶として最適化を目指しながら、自動化をして、少しずつ覚えます。そしてフィードバックで矯正と修正を繰り返します。この学習方法が人工知能も真似ているディープラーニングです。

特徴の真似をしながら、達人に近づき、その真似の学習のプロセスで忘れないように覚えてしまうのです。つまり発音や使い方が上手になるプロセスで覚えてしまう方法です。

人工知能は記憶されている電子データを使いますから、脳のディープラーニングのように覚える必用はありません。

2017年にBaidu社の人工知能チームが、仮想エージェントに、その世界での歩き方や進み方を自然言語のコマンドで教え、AIエージェントが初歩的な文法感覚を持つ事を証明しました。

人間の場合それは、赤ん坊のころに発達する能力だと思われていました。親が子どもに教えるときは、それと同じことをしています。

エージェントは習っていない事もできる“ゼロショット学習”の能力を持ったことなのです。言ってみればこれは子供だけが持っている能力ではなく、脳の持つディープラーニングの学習能力なのです。

2016年頃からディープラーニングと言う言葉を良く見たり聞いたりするようになりました。日本ではまだ良く知られていませんが、世界的にはディープラーニングは英語のような言語学習だけでなく、一般的な教育や学習にも応用されています。

一般的には試験用の学習で一時的に覚えて忘れてしまう学習をSurface Learning、そして忘れないように学習する事をDeep Learningと呼んでいるようです。

ディープラーニングとは本来は脳の学習の仕組みで、自分で学ぶことを学びます。最も典型的な例は子供が自分で言語を習得する方法です。学ぶ環境があると自分が脳の報酬系を見たし、知識を蓄えるだけでなく、やる気も増していく方法です。

次のような説明をしているサイトもあります。

Surface Learning
I came to class.
I reviewed my class notes.
I made index cards.
I highlighted the text.

Deep Learning
I wrote my own study questions.
I tried to figure out the answer before looking it up.
I closed my notes and tested how much I remembered.
I broke down complex processes step-by-step.

しかし、ここで学ぶディープラーニングは脳の学習のメカニズムを意味します。これは人工知能の学習によりその効果を証明された脳の学習仕組みです。それは脳が試行錯誤して学習する仕組みです。

数学や化学や物理の多くは法則や数式や化学式で説明できる形式知です。その知識を学習者がその説明や法則等で得る事ができます。

言語知識にはその基本となる法則とか数式がない暗黙知です。そのために言語はディープラーニングでしか学ぶ事ができません。

言語の場合は達人(ネイティブ)を真似て、そしてフィードバックを得て修正と矯正をする学習の仕組みです。英語ではDeep Reinforcement Learningと呼ばれ、日本語では深層強化学習と呼ばれています。

この学習の仕組みは脳が自ら学ぶ方法で、英語であればネイティブの音を真似、少しずつ特徴を抽出する学習です。そしてフィードバックで修正します。

ネイティブを真似ると言う事は、文法や文型の基本を学ぶのではなく、実際に使われている表現を、使われている発音で、使われている状態で学びます。

最初から何度も繰り返し覚えますから、何よりも覚えた英語は使えますし、同時にその音と照合しますから、ネイティブが話しても聞き取れます。

臨界期を過ぎた大人は論理的だから文法を教えると言うのは間違いです。脳は一生成長しますから、学習の仕組みは子供でも大人でも、もちろん臨界期の後でも変化はありません。

大人がスポーツや楽器演奏などを学習する時も全てがディープラーニングです。大人も言語はディープラーニングで学習すべきです。

脳は臨界期を過ぎても少しずつしか学べないからです。日本人が文法で6年以上も英語を学んでも英語が話せないのは、学習方法が間違っているからです。

スマホやタブレットが出現する事によりこの脳が学習する仕組みであるディープラーニングが非常に実用的になってきました。スマホやタブレットが先生の要らない、そして効果的な学習を可能にしてくれるからです。

ディープラーニングは脳の学習の仕組みでるから、他の学習にも非常に参考になると思います。

最近注目のアクティブラーニングとは生徒参加型の学習方法です。英語のディープラーニングは学習者はネイティブを真似る学習ですから、必然的にアクティブラーニングです。英語の場合に学習者が率先して文法を学ぶ方法アクティブラーニングとなりますが、言語の基本が文法ではありませんから、文法基盤のアクティブラーニングは効果的ではありません。

2.Baiduの快挙

2017年にBaiduの人工知能チームが“生きている”仮想エージェントに、その世界での歩き方や進み方を、自然言語のコマンドで教えました。そのために言語能力を、肯定や否定を通じて強化学習しました。そして、エージェントは“zero-shot学習”の能力を得たこと、言い換えるとAIエージェントが初歩的な文法感覚を持つようになった事を証明しました。

人間の場合にそれは赤ん坊のころに発達する能力だと思われていました。そのために英語などの言語は第二言語習得理論により、母語とは違った方法で教えていました。

しかしBaiduのエージェントが、学習したコマンドを新しい状況に適用できたことつまりゼロショット学習ができたのです。

“ドラゴンフルーツ”の形状を知っているマシンに“このドラゴンフルーツをナイフで切れ”と命じても、このコマンドに含まれているデータセットの“切れ”や“ナイフ”を明示的に訓練されていなければ実行できません。Baiduのエージェントは、ドラゴンフルーツと言う視覚的外見について知っていることで“ドラゴンフルーツをナイフで切れ”を、事前に明示的に訓練されていなくても“Xをナイフで切れ”というタスクに転移する能力を示しました。

このように、前に使ったスキルを一般化できる能力は、非常に重要です。これは転移学習を呼ばれおり、それは知識を学んでその既得の知識を他へ適用できるからです。

3.グーグルの快挙

2016年に米国のGoogleは、ディープラーニング(深層強化学習)を用いた人工知能のAlphaGoが囲碁のチャンピオンと対戦して勝利をしたと発表し世界を驚かせました。グーグルが囲碁を選んだのは囲碁が非常に難しく、人間でも強くなるのが大変だからなのです。

AlphaGoは自力で達人の囲碁を真似て学習し、人工知能どうしが対戦を繰り返し囲碁に勝つ方法を見つけ出すことができたのです。そしてどんどん新しい攻略方法を自力で見つけるようになりました。

その驚きは人工知能が自ら学ぶ事ができた事ではなく、その学習の仕組みが人間の脳の強化学習を真似た事でした。ディープラーニングとは特徴を少しずつ抽出してパターンを学習する事です。そしてフィードバックで誤差を修正や矯正する方法です。

言葉の場合はネイティブを真似て音声の特徴を少しずつ学習しています。その理由は言語音はアナログの連続的に変化する音のストリームであり、ルールとか音素が基本となっていないからです。そのような音を覚える方法は特徴を真似るディープラーニングしか方法はありません。

文法や音素(発音記号)を学習しても英語が話せないのは、ディープラーニングがされてないからです。英語にはいろいろな学習方法あるように見えますが、実はどんな方法でも繰り返す事により何等かのディープラーニングが促進されているからです。

この方法は達人を真似る方法であり、誤り排除学習と呼ばれる効果的な方法です。日本語を覚えた時にもその方法で覚えました。脳は出力時に学習しますから、聞き流しだけでは学習できません。単に回数を繰り返すだけでなく、フィードバックを得てそれを評価して、少しずつ自然な音に近づけます。

このディープラーニングは子供の脳だけでなく、大人でも我々の脳が言語やスポーツや芸能を学習する仕組みでもあります。

その後にグーグルで開発されたアルファ碁ゼロは、自己対戦からも次第に勝つ手を学び、強くなり続けることができます。教師となる人間のデータを使っておりません。アルファ碁ゼロは、学習開始からたった3日で人間の世界トップレベルを上回った。この学習には、グーグルが開発した機械学習に特化した超高性能の半導体”TPU”が2000個使われています。

この高速学習はディープマインドの技術力と、グーグルの莫大なリソースが可能にしたと言えます。それなら言語学習もアルファ碁ゼロも真似をせずに可能でしょうか。それは絶対に無理なのです。囲碁のようなゲームは勝ち負けを決める事ができるため、それぞれの手のフィードバックを得て評価ができます。

しかし、言語には勝ち負けのような目的はなく、無数とも言えるような表現や発音もあります。使われる表現もどんどん変わっていきます。このような言語習得では真似ると言う学習の基本は必須の条件となります。

4.ニューラルネットワーク

プレジデント社のプレジデント、2005年7月18 日号の記事によると2003年に62歳で急逝された理科科学研究所の脳科学者である故松本元氏は脳型コンピュータを研究していました。彼はヤリイカの神経細胞で行われる情報伝達、処理の研究ではノーベル賞に上げられる気鋭の科学者でした。

脳型コンピュータは現在使われているデジタルコンピュータとは違い、ネットワークで構成されているためには現在はニューラルネットワークと呼ばれています。その理由は脳がコンピュータのような記憶システムやCPUを使用せず、従来のコンピュータとは区別するためです。

彼は「人は何のために生きるか」を考えるには「脳はどこに向かって発達するか」に置き換えられると言うのです。かれは「脳は楽しいと感じること」に向かって伸びようとしていると言いました。言語を習得するには脳型のニューラルネットワークは最適な仕組みです。

彼のニューラルネットワークを積んだヘリコプターの実験があります。このヘリはコンピュータが積んでありますが、最初は目標に飛ぼうとするのですが障害物などのぶつかり、何度も離陸と着陸を繰り返してようやく最終目的に着くことができます。通常のコンピュータであれば最初から目的に着くためのデータがインプットできますから、試行錯誤無しで目標に飛べます。

ニューラルネットワークは最初は何もデータが無いので何度も失敗を繰り返すしかありません。これは一見無駄な動きのように見えますが、失敗を繰り返す度にヘリのコンピュータは周辺環境のデータを自ら獲得して、ついには正しい目的地に到達します。

これが脳型コンピュータであり、多くの人工知能が採用するニューラルネットワークと呼ばれものです。

5.ベイズ理論

人類には多くの説明できない暗黙知という知恵があります。この暗黙知をどうコンピュータで処理するかと言うのが人類の大きな夢でした。それが人工知能を作り出す目的の一つでした。

暗黙知そのものは文字で表現できなくても、事例データを使い統計的に予知できるというのがベイズ理論です。

人工知能は脳を真似たニューラルネットワークで構成されていますが、脳の情報処理はもっと効果的にできるベイジアンネットと呼ばれるものです。

ベイジアンネットとは、確率論に基づいた推論を効率的に行うための技術です。脳の最も大事な機能の1つである直観と似た働きをします。

言語音はだれも発音はできたも、それをどう作るかと言う説明ができない音です。つまり脳がどう学習するとか、そして脳がどう認識するかも良く分かっておりません。

それでも実際にはその音声でコミュニケーションが可能です。脳の中がブラックボックスでも事例データを使えば統計的に予知できるというのがベイズ理論です。

言葉を話せない赤ん坊はいろいろな試行や学習ができます。それはどのように脳が言葉を学習するかが分からなくてもその事例を多く学ぶ事により、正しい解答を得る事ができると言うのがベイズの定理です。これは統計的な確率論で証明されています。

ウイスコンシン大学のジュニー・サフラン氏は実験によって8ヶ月の乳児は人口的に作られた音の流れに対して、同じ順序の音節の並びが繰り返し現れるという、統計的規則性の抽出に専念していることを知りました。

これは乳児が実生活で親兄弟などが発する途切れの無い音を聞きながら、単語の始まりと終わりを認識しているのではないと考えています。乳幼児が持っているのはそのような音声を聞いてある規則性を探す興味と能力です。

画像や動画を使った実験で、幼児の脳ではベイズ定理のような判断をしている事はいろいろな実験から証明されています。

最新のニューラルネットワークはほとんどが難しい問題をベイズ理論を基本とした方法で解決しようとしています。

最近ではメール等でお勧めが送られてきます。これも脳のようなニューラルネットワークを使い予測したものです。過去に購入した商品から、顧客は何が好きかは分からなくても予測できると言う考えに基づいています。

これは事例とか実際の行動から推測できるので、最終的な解答や説明は必要でありません。

言語の音声も、また言語の基本も文字や記号で説明できません。しかし、多くの事例を学ぶ事で正しい発音や正しい使い方ができると言うのがベイズ理論です。

言語の音声も、また言語の基本も文字や記号で説明できませんから、先生が教える事はできません。

6.最適化のプロセス

脳はデジタルコンピュータと違うニューラルネットワーク、より正しく言えばベイジアンネットワークで構成されています。

生まれたばかりの子供は刺激に反応します。言語の場合は真似る事から始まります。その真似は脳の持つ本能ですが、真似る目的は最適化にあります。言語音は大変複雑な音でありながら、その基本の音は定義されておりません。

しかし、ネイティブつまり大人が話す言葉は長い年月をかけ取捨選択がされ継承されてきた表現であり発音です。各自が何年もかけ理想の音、つまり最適音を模索して作られた音の流れです。

そのような複雑な音を試行錯誤で学ぶ事ができません。そのために達人であるネイティブを真似る事により非常に効果的な学習ができます。最適化されている音を、言語話者は真似る事で最適化をするのが言語習得なのです。

これが言語文化の継承と言えるもので、暗黙知の言語文化は文法や音素等の形式知として教える事ができず、暗黙知の言語をディープラーニングする必要があります。

発音が最適化されるとフィードバックで発音が良くなる、発音が楽になり、自分でそれを実感できます。それらのポジティブなフィードバックを得て報酬系が働き学習が楽しくなります。

脳の素晴らしさはある新しい局面の中で、新しい体験に直面した時、人間の大脳新皮質は過去に体験した事を学習しています。

そして大脳新皮質のニューラルネットワーク内に記憶した行動シーケンス、つまり時系列的な行動の時間推移を思い出し、前回の行動環境と今回の行動環境の違いを認識して、前回の記憶した行動系列を適度に修正して、今回取るべき行動を作り出す事ができます。

前回の行動環境と今回の行動環の違いの認識と、 今回取るべき行動を得るために、過去の体験の中で記憶した行動系列の修正のいずれも計算で処理するのではなく、大脳新皮質の物理的機構によって、違いの認識と前回の記憶された行動系列の修正を行う事ができるのです。

これが言語の学習の始まりですが、このディープラーニングの学習の仕組みは臨界期を過ぎた大人のまったく同じです。

この能力があるから文法のようなルールや、音声学の音素が存在しなくても複雑な言葉を使いコミュニケーションを取る事ができるのです。

脳の言語習得の方法はネイティブを真似て反復学習する事で違いの認識と前回の記憶された行動系列の修正を行う事ができるのです。

これはディープラーニング(深層強化学習)と呼ばれる脳の学習方法です。幼児のように何も知らないゼロの状態から学ぶ事ができます。脳の学習方法は変わりませんから、もちろん大人でも同じ学習方法です。

ディープラーニングで、何度も繰り返すことがリハーサルになります。リハーサルは維持リハーサルと精緻化リハーサルの2つがあり、ネイティブを真似るはこの精緻化リハーサルに当たります。

この精緻化のメカニズムとして筋肉運動が最適化を目指します。最適化とは発音しやすい調音方法ですから、自分でも感じる事ができます。

この脳型の学習方法は学習初期には非常に繰り返しが必要ですが、パターンで学習をするため、真似る学習方法をも学習するため、真似る技術がどんどん向上します。

脳は学習した結果を脳の長期記憶に保存して、その学習したデータの並列分散処理をして最適なデータを検索する事も可能です。英語を話す時は最も自分の言いたい事例を参考にしながら表現を作成します。

英語でリスニングをする時は自分の記憶にある多くのデータから類似のパターンを見抜いて知らない単語でもある程度の推測をして予測する事も可能です。

多くのデータから類似のパターンから単語を替え、名詞や動詞を替える事により自分で創作したような表現を作り出す事も可能です

日本人の我々は日本語のネイティブです。ではネイティブとは何が非ネイティブと違うのでしょうか。

大きな違いはディープラーニングで非常に多くの事例を知っていると言う事です。もちろんディープラーニングで発音も学習していますから、非常に自然です。

非常に多くの事例を知っていると言う事はその中に含まれて多くの単語を知っていることになります。

脳はこれらの記憶をデータベースにしていろいろな検索が可能です。記憶と照合したり、また類似のパターンを使い新しい表現を作ったりする事ができます。

それでは英語を第二言語として学習した時にネイティブのようになるためにはディープラーニングで忘れないように事例を学習していくことです。忘れないで学習する仕組みがディープラーニングです。

7.累積効果と転移学習

ディープラーニングとはフィードバックを得る反復練習により、最適化されかつ自動化した結果を蓄積するプロセスです。その蓄積を運用に使うだけでなく、その蓄積が学習転移により次の学習を促進する事にもなります。

多くの事を覚えるためには記憶する必用性があると言う事は、脳が実際に何をしているか理解でき、これからの学習に貴重な参考となると思います。

池谷祐二氏の「記憶力を強くする」では次のように説明しています。

脳の神経回路は電気回路とは違いお互いがつながって情報がながるのではありません。脳細胞と脳細胞はつながる事は無く、その間の情報のやりとりは知られているだけでも100種類以上の情報伝達物質のやりとりで行われます。しかし記憶は脳細胞の不連続な回路において行われます。

言葉の文法はそれぞれ独立しており、あるルールを覚えたから次のルールを覚えるのが楽になる事はありませ。しかし、ディープラーニングが非常に効果的に学習できるのは基本的に同じような学習方法であり、学習した結果を次の学習に生かせるからです。つまり学習が次の学習に転移して累積効果により加速度的な学習が可能になります。

脳科学者の池谷裕二氏によると次のように説明しています。

Aという事象を理解し記憶した上で、関連するBという事象を覚えようとすると、Aを覚えたときに無意識に習得した手続き記憶が応用され、Aを覚えたときよりも簡単にBを覚えられるという。すなわち「転移学習」が働いたと言えます。このとき、当然ながらBを覚えた手続き記憶も新たに記憶されている。さらに、このBを覚えた時の手続き記憶が先に覚えたAの理解をさらに深める再補強効果があるという。

言い換えれば、AとBという2つの対象を覚えるとき、それらを覚える際の手続き記憶が相互に理解を助けることになり、合計2の二乗で4つ分の記憶が新たに生まれるという計算になる。さらに3つ目の事象Cを記憶するときも同様に、AとBの手続き記憶が利用されると同時に、Cを理解したときの手続き記憶が先に記憶したAとBの理解を再補強することになる。

転移学習とは人工知能で良く使われます。次のように説明されています。

転移学習 transfer learning とは,あらかじめ別の訓練データを用いて学習を行わせたモデルに対して、新たに別の課題を学習させる場合を指します。

転移学習 (transfer learning) の他,帰納転移 (inductive transfer),ドメイン適応 (domain adaptation)、マルチタスク学習 (multitask learning)、knowledge transfer、 learning to learn、lifetime learning などの呼び名もあります。

我々の英語学習では例えばcat personが猫の好きな人、そして beach personがビーチの好きな人の意味であれば、coffee personはコーヒーの好きな人だと分かります。つまりcoffee personと始めて聞いてもcat personやbeach personを知っていれば理解できるのですから、全てを覚えていなくも理解できる、または使える表現は非常に多いのです。

このように次々に新しいことを学習していくと、その効果は等比級数的に累積していくことになります。つまり、学習と記憶(勉強量と成績)の関係は、直線的な1次関数ではなく、加速度的に二乗曲線を描いて上昇していくと考えられます。

すなわち学習の効果はすぐには現れず、地道な努力を継続しているうちに徐々に効果を実感でき、加速度的な学習が可能となります。これこそが上達の本質であり、天才や熟練者と呼ばれる人も初めは初級者だったことを証明できるものです。池谷裕二氏の言葉を借りれば、「嵐の前の静けさ」と「突然の爆発」が隣り合わせなのが脳の性質なのです。

ディープラーニングにはネイティブの真似をしながら反復練習をして覚えていきます。フィードバックを得て矯正します。この時に覚えるのは音の並びとして覚えるのでなく、連続的な音の流れのパターンとして覚えます。

ディープラーニングとは事例の特徴を少しずつ学習します。英語のどの事例を学ぶ方法も同じ事であり、事例が増える事により特徴の学習も上達します。

この事例となる音のストリームに文法、発音、スピーキング、リスニングの情報が全部含まれていますから、同じように事例を覚えるだけなのです。

記憶量が増えるにつけ、記憶の累積効果で類似のパターンが増えてきます。日本語ならどんな表現でもすぐに覚える事ができます。それは類似のパターンを既に覚えているからです。

人間の脳は似ているものを好み、似ているものは学習し易くなります。言語であれば似た音の特徴は非常に覚え易いと言う事になります。それぞれの言語に、例えば日本語とか英語の発音にそれぞれ共通した特徴があるのはそのような似たものは非常に覚え易い特徴があるのです。

ディープラーニングとはフィードバックを得る反復練習により、最適化されかつ自動化した結果を蓄積するプロセスです。その蓄積を運用に使うだけでなく、その蓄積が転移学習により次の学習を促進する事にもなります。

人工知能の場合には音声データでも音の変化のある特性、現状では音の波形しか使う事ができません。しかし、人間の脳が音声データを聞けば言葉が理解できるだけでなく、性別、年齢、出身地、教養、性格等まである程度が分かります。音のデータを4次元の情報として扱い、分散並列処理でその情報を解析できるからです。

これらの情報の累積効果による転移学習ができれば、脳は人工知能より何倍も効果的なディープラーニングが可能となります。

8.全てを同時学習

4次元のデータを持つ音声には、発音だけではなく、表現も、使い方の情報も含まれています。そして音を覚えるのでリスニングの学習もしている非常に効果的な学習です。

もし、言語を覚えるのに必ず維持リハーサルや精緻化リハーサルであれば、覚えられる単語や表現には限度があります。英会話学習に使える時間には制約があるからです。子供は3才から5才の間は爆発的に言葉を覚えますが維持リハーサルや精緻化リハーサルを使わないで覚える場合が多くなります。それは記憶が記憶を呼ぶプライミング効果です。これを聴覚が英語の適応した状態と呼んでいます。

プライミング記憶は単語の記憶や音声の記憶などで、先に与えられた情報(先行刺激)が、後に続く情報(後続刺激)の処理に無意識に影響を及ぼす事です。そのような状況における先行する事柄をプライムと言います。先行する事柄には文章、単語、絵、音などがあります。例えばロンドンと聞けば“時計”や“宮殿”の連想の方が“神社”や“大仏殿”などの言葉より強くなるのはプライム効果によります。英語の場合類似の音は非常に覚え易くなりますがこれもプライム効果によるものです。

これを上手に利用すると、記憶をすれば次の記憶を生むと事ができますから、記憶こそが次の記憶の源泉です。日本語では呼び水と言いますが井戸水を汲む場合に井戸に水が溜まってないと水を汲みあげる事ができません。そこで井戸に水が無い時は最初に水を入れて井戸に満たしますが、この水が呼び水です。英語ではprimingまたはpriming waterといいます。

音のストリームの発音に関して自然な発音に拘るのもこのプライミング記憶のためです。自然な発音に近いと言う事は英語ネイティブの音の特徴を捉えていることになります。先に与えられた情報(先行刺激)が、後に続く情報(後続刺激)の処理に無意識に良い影響を与えるためには先行する刺激と後続する刺激は同質のものでなくては意味がありません。英語の聞く音声の特性が自分に記憶にあるものと、実際に聞く音声の特性が同質でなければプライミング効果は期待できないからです。記憶するためにプライム記憶の呼び水に当たるものが必要ですが、教材の例文を完全に記憶する事で十分な連続音声や意味や単語などの蓄積となり記憶のきっかけとなると思います。

9.パターン学習と創造性

2005年8月11日の日経の夕刊によると脳科学者の茂木健一郎氏による脳の記憶のシステムの本当の素晴らしさは世間で言う「記憶力」とは少し違う点にあると言います。覚えた事を記憶させて単純に再現するなら機械にもできる事です。実際に再現力で比較すればコンピュータにはとても敵いません。人間の脳だけが持つ素晴らしい能力は、自らの記憶を編集して、新しい意味を見出す点にあると言います。例えば何回か合って話をすると、次第にその人の人柄が判ってきます。

あるいは仕事の体験を重ねることで、そのコツを掴んでいきます。このように学習プロセスに、「編集力」が関わってきます。これは大脳皮質の側頭葉に記憶が蓄えられると、さっそく編集のプロセスが始まります。

人間の脳が例文を記憶するとパソコンのようにいつまでも同じ形で記憶されているだけではないのです。既にある長期記憶の英文と関連付けたり、類似点や相違点を比較したりするなど無意識のプロセスが進行すると考えられているそうです。

これは英語でも同じで、多くの英語表現を覚える事により、類似のパターンを学び、脳の自動編集能力により覚えた英語表現だけでなく、単語の入れ替えとか、フレーズの組み合わせとかにより基本は自分の記憶をベースにしていますが、個性豊かな英語表現をできるようになります。この脳の編集能力を高めるためにはベースとなる英語表現を確実に覚え、かつ数多く覚えることです。更にその編集機能を使うために知っている英語でいろいろと表現する訓練をすることです。

英語表現を繰り返して覚えることは脳の編集機能の素材を作る意味があります。その素材をなるべく自然な音に近づけて記憶に保存します。新しい英語表現の記憶が容易になるのは編集の素材が増えるために編集して加工する働きが非常にシンプルになるからでは無いかと思っています。

人間の脳細胞は多くの細胞が関係しながら記憶をしたり、思い出したりしますので、自分が記憶した情報から新たな考えをしたり、新たな表現を編集しなおすと言うのは人間の脳であるからできる、脳の優れた能力です。人間の言語能力は本能ではないかと思われる程不思議に満ちていますが、人間が最大の見方とすべき脳の力はこの自己編集能力であり、この力により個性を作ることができます。この人間の脳の力がすべての人が違う考え方や会話する根本であり、もし全ての人が全て同じ事を考えたり同じ事を話したりすると、大変不気味な感じがするはずです。

10.モチベーションの維持

脳には報酬系が作用しておりフィードバックがポジティブの場合に報酬系が働きます。言語はネイティブを真似る事が目的ですから、真似が上達するとフィードバックがポジティブになります。

ネイティブを真似ることでは覚えたどうかの判断ができません。覚えたどうかの判断はルールによる学習です。真似る行為にはその覚えたどうかの判断は入っておりません。

言語の習得には時間が掛かります。そのためにはモチベーションを維持する必要があります。英語学習でモチベーションの維持を図るためには自己有能感を感じる事です。自己有能感を感じるとは自分の学習方法は正しい方法であり、そして英語能力が確実に向上していることを実感する事です。

そのために正しい方法を正しい学習方法で継続して、フィードバックを得てそれを検証することです。ディープラーニングでは常に聞いた音を真似て、どんどんネイティブの発音に近づけていきます。そして繰り返す事により、忘れないで英語表現を覚えていきます。すると累積効果を肌で感じる事ができます。つまり自己有能感を常に感じる事ができます。

またこのディープラーニングの学習ではタブレットやスマホを使い、ソーシャルラーニングで皆と楽しい学習ができ、多くの人から学ぶ事ができ、意見を交わす事もできます。

自分の録音した過去の音声や、他の人と比較する事でそして自分の英語能力が向上する事が実感できます。この自己有能感が最大の学習意欲につながります。そのためにも常に自分の英語スキルに注意を払い、向上させるようなディープラーニングを心掛けます。

言語と言うのはなぜディープラーニングにより、教えてもらわなくても自分で学ぶ事ができるのでしょうか。そして自分の英語の発音を自分で聞いて本当に矯正できるのでしょうか。

それは言語知識というのは形式知のように文字や記号で説明できない暗黙知であるからです。暗黙知を学ぶ場合には脳のようなディープラーニングが必要となります。