脳と人工知能

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脳と人工知能

人工知能に注目が集まり、まもなく人工知能が人間を抜くとかを報じる記事があります。しかし、総合的に考えると脳の方が遥かに優れております。

人工知能は脳の機能の一部ができるに過ぎません。それなのに私が人工知能の記事を引用するのは脳の機能の一部を真似るだけで、素晴らしい学習が可能です。

その素晴らしさを説明するために人工知能の話を引用しているだけです。脳のその素晴らしい能力を最大に使えるのは言語習得であり、それを意識した学習で英語学習がより楽しくなると思います。

1.脳の構造

人間の脳は、どのような構造になっているのでしょうか。

人間の脳の構造をより簡単に理解するために、米国の神経科学者ポール・マクリーンが提唱する三位一体の脳仮説というものがあります。この仮説によると、人間の脳は、進化的に最も古い反射脳である延髄と脳幹、次に古い情動脳である大脳辺縁系、最も新しい理性脳つまり大脳新皮質に分類されます。

この中で脳の古い部分である、反射脳と情動脳は、合わせて生存脳と呼ばれます。命の生存にとってはなくてはならない器官なのです。生存にとっては、外界からの刺激に対して何らかの反射(反応)と、情動(感性)による外界からの刺激の認識が欠かせないからです。外界からの刺激を受けて、感性を研ぎ澄ませないと、生存本能すらも危うくなるからです。

情動と密接な関係のある脳の場所は、系統発生的に古い脳である大脳辺縁系と呼ばれている大脳の内側に広がっている脳の部位です。この大脳辺縁系の中でも、扁桃体が情動の発現に重要な役割を果していることはこれまでの研究で明らかになっています。

人間でも動物でも、外敵や有害なもの、危険なものに対しては恐怖が生じ、それから逃げようとします。一方、自分の欲求を満たしてくれるものには接近行動を示します。そして、欲求の充足が阻止された場合には、怒りが生じ、攻撃行動が起こります。このように、情動には人間や動物を行動に駆り立てる性質があります。こうした適応行動が起こるのは、外界から入ってきた刺激の生物学的意義を評価する過程が働いていると考えられます。

最も新しい理性脳である大脳新皮質は社会脳とも呼ばれており、外界と自己との関係を維持することで、豊かな社会性を作り出しています。例えば、社会脳において運動を司る部位である運動野においてミラーニューロンというものが見つかっています。

これは、例えば、自分が手を動かす場合に反応するニューロンが、他人が手を動かしているのを見ただけで反応する現象です。すなわち、自分の行動と、他人の行動を、同じことと認識することによって、他人への共感や、自己と他人とを区別していると考えられます。

そしてこの社会脳は生存脳とも強くリンクしていることが知られている。すなわち、外界からの刺激を受けて、感性を研ぎ澄ませることなしには、生存本能はおろか、社会性すら維持できなくなるということを意味しています。

このように、理性を司るとされる大脳新皮質は、生存脳とリンクすることで、豊かな社会性を作り出している。そして、こうした豊かな社会性というものは、脳がだまされることではじめて外界との関係を作り出し、それによって作り出されるものであります。

2.学習の仕組み

脳は五感からくる情報に基づいて学習しています。しかし、どのセンサーから来た情報もアナログの電子情報となり、この感覚から来た情報も学習の仕組みは同じディープラーニングです。聴覚野とか視覚野と言うように脳の部位においては違いますが、処理している細胞もその学習の仕組みも同じです。

脳の一部を自己や病気で失っても、ある程度は他の脳がその役割を変わりに処理する事は可能です。

人工知能は保存されている電子データを基に学習します。しかし、脳に届く五感からの情報は電気情報ですが、ほとんどの情報は保存されることなく消えてしまいます。目や、耳から入る情報の多くは一過性の情報になってしまいます。

人工知能の場合の電子的に存在する情報からディープラーニングをします。しかし、脳の場合は学習した結果を長期記憶に保存して残す事が学習となります。すると脳の場合は特徴の抽出だけでなく、手続き記憶として長期記憶に保存するためにディープラーニングが必要となります。

脳の場合に大事な情報は海馬に一時的に記憶されます。試験勉強などの一夜漬けの学習の多くは海馬に保存されますが、これらの情報は1ヶ月もすると消えてしまいます。

しかし、海馬が重要であると判断すると大脳新皮質の長期記憶に保存されます。英語の場合は手続き記憶として自動化され、長期記憶に保存されます。長期記憶に保存された情報は消える事なく保存されます。

海馬はどのような情報を長期記憶に保存するかは不明ですが、すくなくとも何度も繰り返えされたり、大事だと感じたりするような情報は長期記憶に保存される事になります。学習の回数や情感は非常に重要な要素です。また重要性の判断では他の情報との関係も大事になってきます。

覚えた情報が思い出せずに後から思い出せたのであれば、それは想起の問題です。長期記憶にある情報でも長い事使わないと想起ができなくなり、思い出せない事もがあります。

3.脳と人工知能は同じではない

人工知能は、人間の脳を同じように再現している訳でありません。

脳科学者である茂木健一郎氏があげるそれぞれ5つのポイントを上げて説明しています。

人間が人工知能に勝る働き方の5つのポイント

1.コミュニケーション

2.身体性

3.発想・アイデア

4.直感・センス

5.イノベーション

人工知能が人間に勝る働き方5つのポイント

1.書類作成

2.記憶力

3.計算力

4.データ検索&解析

5.オペレーション業務全般

出典:『人工知能に負けない脳』

人工知能は人間の脳の学習方法に着目し、そのメカニズムを強化学習アルゴリズムに取り入れることで、人間のように応用力があり、実社会で広く適用することができるAIの実現を目指すものです。従来の強化学習では人手により調整していた部分をAIが自律的に調整し、より応用力のある強化学習アルゴリズムを開発します。

具体的には、特に脳の次の三つの機能に注目しています。

1.動的に変化する大量データの中から強化学習に適した情報を選び出す自動抽出技術

2.過去の経験を別の問題の行動選択方策へと生かす転移学習技術

3.複数の方策から状況に応じて行動を選択する協調・並列強化学習技術

人工知能で最も進んでいるのが特徴の自動抽出技術です。そして次に進んでいるのが転移学習です。協調・並列強化学習技術はこれからの課題です。

人間の英語学習では協調・並列強化学習技術と転移学習と協調・並列強化学習が必要であります。そのために人間は人工知能より効果的な学習が可能となります。

4.脳の方が優れている

人工知能はどこまで人間に近づいているでしょうか。

深層強化学習を中心とする学習アルゴリズムの開発により、人工知能は、画像から物体を高精度で認識することができるようになっています。しかし、それは、既に記憶した物体に対してのみであり、記憶していない物体に対しては無力です。例えば、人間であれば、例え、アライグマという動物を見たことがなくても、アライグマの写真を見れば何か動物がいるということくらいは理解できます。しかしながら、人工知能にとっては、学習していない物体というものは情報とは言えずノイズでしかありません。

そして人工知能のが発達していると脳の“だまされる”という現象や、“社会性”という性質とは無縁のようにも感じられます。しかし、掃除ロボット「ルンバ」に代表されるように、“ぶつかったら避ける”などの単純な“反射”の機能を備えた人工知能は、人間の脳のうちの“生存脳”の原始的なものと言えるかもしれません。体を動かすとか、目をつぶるとかは本能的と言えるかも知れません。

四足歩行ロボットのビックドックなどは、それ以上に生き物を見ているような感覚を覚え、今にもこちらを見て襲ってくるのではないかという錯覚すら覚えてしまいます。しかし実際は、四足歩行ロボットはものを見ているわけではなく、動く意思を持っているわけではないので、命令した方向以外には進みません。

こう考えると人工知能は、人間の理性が作り出す社会性に関し、まだまだ不十分とは言え、ようやく足を踏み出したと言えるのかもしれない。

それではこれから人工知能が人間の脳を超えるでしょうか。しかしそれはあまり意味のない比較です。

それは人類史上最速のウサイン・ボルトとリニアモーターカーが競争したらどちらが勝つのかと言う議論であまり意味がありません。

コンピュータも初期の頃はソロバンと計算を競いました。しかし、もうそのような競争をする人はおりません。人工知能においても、たとえば囲碁や将棋が強いと知性が人間を追い越すのだろうかというようなもので、

既にデータが存在する事で、学習さえ正しくできれば、人工知能が脳を追い越すことはもはや明白なのです。人間の道具として優れているだけです。

5.脳は不思議な存在

人工知能の進化が、われわれの生活にもたらすメリットは多くあります。しかしその一方で、“いずれ人工知能に取って代わられて、人間のやることがなくなってしまうのでは”と言う心配もあります。

人工知能はあくまで道具。人間の生産性をより高め、生活をより良くしようという道具でしかありません。世界的にさまざまな資源が不足し、多くの問題を抱えています。その問題に対処する過程で人工知能が果たす役割は大きいと思っています。例えば、世界で起きている紛争を終結させる手助けをする事も考えられます。

そしてより良い社会を作っていくための人工知能であること。

人工知能の研究には二つの目的があると思います。一つはわれわれの社会をより良くするための機能性の追求です。もう一つは、脳そのものを解明するためのモデルなのです。

人間の脳のメカニズムの多くは解明されていない。それが分かれば人工知能も完成となるのだろうが、宇宙の果てと同様に脳の不思議の解明は到達点の果てしない場所にあると言えます。

脳について理解できている部分も多いのですが、分からない部分の方がずっと多いのです。

人間の脳は、すごく効率良くエネルギーを使っています。囲碁をするといった知的な情報処理をコンピュータと人間の脳が行った場合、圧倒的に省エネルギーなのは人間の脳なんですよ。

脳がいかに優れた効率の良い器官である分かります。

まだ解明できていない部分が多くて謎だらけと言えるかもしれません。そのような素晴らしい器官をもっているのが人類であり、その器官をいかに効果的に学習させるかが英語習得なのです。