脳はベイジアンネット

人工知能はニューラルネットワークで構成されていますが、脳の情報処理はディープラーニングがより効果的にできるベイジアンネットと呼ばれるものです。ベイジアンネットとは、確率論に基づいた推論を効率的に行うための技術です。脳の最も大事な機能の1つである直観と似た働きをします。

ベイジアンネットはディープラーニングで最適化を目指して学習します。そして学習した情報を必要な時に検索をして、いかに最適な情報を高速で検索すると言う事です。

ベイジアンネットは、複数の事柄の因果関係をネットワーク構造で表現し、同時に因果関係の強さを表す数値も記録します。このように表現された”知識”を用いれば、得られた観測データに基づいて 様々な事象の確率をベイズ理論に基づいて合理的かつ効率的に計算することができます。

音声認識などのパターン認識はベイジアンネットの応用の一例です。 与えられた音声信号が、どの単語に対応する確率が一番高いかを 計算することができます。

ベイジアンネットもニューラルネットワークもパターン認識に使えるという点では同じです。しかし、2つは全く別のものです。ニューラルネットワークとベイジアンネットには次の違いがあります。

ベイジアンネットは入力されるものも出力されるものも”値”ではなく”値の確率分布”です。そして推論時の情報の流れが”入力から出力へ”という一方向ではなく、双方向です。すべてのノードが入力ノードにも出力ノードにもなり得ます。

ベイジアンネットの推論時の情報伝達は一度ではなく、ネットワーク全体に 情報が繰り返し伝播します。情報の流れが双方向のため、観測データに基づいた認識だけでなく、 ”もしこうしたら何が起きるか”のように原因から結果を予測することもできます。

文脈からの予測や複数の感覚器からの観測データなど、 持っている情報のすべてを統合した 最適な推論を行うことができます。言語活動には非常に重要な機能です。

例えば言葉を話す時に音声認識処理で意味を理解し、そして関連した情報から推測をし、視覚情報らも推測し、そして次に話す表現の過去の頻度も分析し、すべて統合して、次に話すべき事例を検索します。ベイジアンネットを使えば、そのような極めて高度な計算も可能になるのです。

脳のベイジアンネットはこれらの多くの情報を同時に処理するために分散並列処理をしております。このようにベイジアンネットはニューラルネットワークとは全く違い、はるかに高機能です。

ベイジアンネットそのものは単に知識の表現方法であり、学習アルゴリズムではありませんが、何らかの方法で得られた知識をベイジアンネットで表現することは可能です。例えば大量の観測データが与えられている時それらの事象の間の因果関係を最適にモデル化するベイジアンネットを求めるいろいろなアルゴリズムが知られています。

例えばベイジアンネット確率変数の事後確率を効率的に計算するアルゴリズムです。

このようにベイジアンネットが活用されるのは多くの利点があるからです。

まずベイジアンネットは効率が良いのです。ネットワークを構成するノードの数が多くても処理データが少なければ、 比較的少ないメモリ量で知識を記憶でき、 少ない計算量で種々の 確率的推論アルゴリズムを実行することができます。

またベイジアンネットの表現力が高いのです。複数の要因が複雑に絡み合うような対象のモデル化が可能です。

更にベイジアンネットには表現の素直さがあります。事象の間の因果関係を素直にネットワークの形に表現することができます。また、 環境が変わり対象の一部が変化しても、 モデルの修正は一部で済みます。

ベイジアンネットには事前知識の作り込みのしやすさがありますから、学習の際に、 ネットワーク構造の制約等で事前知識を作り込むことができ、それにより学習能力を向上させることができます。

手品は脳のベイジアンネットの弱点を逆手にとったものです。人間は統計的な見方をしますので、手品では統計的に非常に低い方法で物事をすると、それが確立の高い方法やったと見えてしまいますから、結果的には非常に不思議に見えるのです。

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